フィリピンのミンダナオ島のISこと その2

 先日、こんなタイトルの日記を書いて、こういう人しれないところで書いているブログが読まれることなんて考えてなかったのだけれど、それなりにアクセスがあってビビった。

sigma-lambda.hatenablog.jp

 フィリピン人というと、知り合いもそれなりにいるし、これまで度々仕事で訪れていてそれなりに親近感があってきになるので、その後、実際にフィリピン人の知り合いのうち、ミンダナオ出身の人達に近況を聞いてみた。3人知り合いがいて、ブチュアンとダバオ出身の人達。

 ちなみに、ブチュアンもダバオもミンダナオの東部で、キリスト教徒のフィリピン人の支配する地域であり、上記の3人はみんな民族意識的にはみんなコテコテのフィリピン人であり、フィリピンに対する領土的野心を隠そうともしない中国とインドネシアが大嫌いであり、自国に向けてミサイルを飛ばす可能性のある北朝鮮に対しては非常に批判的であり、アメリカと日本を同盟国と考える典型的なフィリピンの保守層である。

 

1人目:ブチュアン在住の45歳のインテリおじさん

 大体のフィリピン人は英語ができるけど、関係代名詞を使って会話をすると段々理解ができなくなることがあるけど、このおじさんは綺麗な英語で喋る。当然関係代名詞を使って会話しても支障ない。

 色々と勉強してて、仕事上は管理職であり、とても権威的に部下に接する傾向があるけど、仕事を離れると呑気で気のいい典型的なミンダナオのおじさんである。ただ、当然高学歴で教養もあるから、ニュースや世界情勢に詳しく、どうやらミンダナオもイスラム系の勢力に侵食されつつあり、もはやブチュアンも安全とは言い切れなくなるかもしれないと言っていた。

 以前は、ミンダナオからブチュアンの間は山賊が出るとかどうとか言われていたけど、なんだかんだ街に入れば安全であり、マニラに比べればミンダナオの治安が悪とはいえ、ブチュアンは安全と言われていた。現時点でも、そもそもブチュアンはマラウィから車で10時間かかるからそれほど危なくないと思うと言っていた。

 ただ政治的な事情がここ最近変わってきて、もうそろそろそれも終わるかもしれないと思ってるらしい。具体的には大統領が変わったこととか。

 

2人目:ブチュアン在住の37歳の気のいいおじさん

 こいつは典型的な呑気で気のいいミンダナオのおじさんで、ブチュアンは全然安全問題ない。大体マラウィなんて車で10時間もかかるし、全然問題ないという認識。ただ、こいつは現状認識が極めて甘い奴なのでちょっと言ってることがあてになるか不明。

 

3人目:セブ出身 ダバオ在住の42歳のインテリおじさん

 中間管理職的な職位のおじさんで、この人もとても流暢な英語を喋るし、いろんなことよく知ってる。物静かな雰囲気で、ミンダナオ出身っぽくないなって思ってたら、よくよく話聞いたらセブ出身だった。風貌はミンダナオの人っぽい感じはしたが、外れた。この人もダバオからマラウィは車で丸1日以上かかるから全然安全。ただ、マラウィがあんななったのはショッキングで早く解決してほしいと言っていた。

 

わかったこと

 結局彼らとのやりとりでわかったことというと、どうもフィリピンの保守層というのはどうもミンダナオのイスラム勢力なんていうのは昔からそこにいて小競り合いしているもので、今更ISが来ようが何だろうが、その大勢に影響はなさそうと思ってるらしいことである。どうも日本人とビジネスの場でやりとりするミンダナオの人というのは政権よりのコテコテの保守層が多くなるので、彼らからの視点に物凄く自分がバイアスがかかってるのはわかるといえばわかる。かといって、ミンダナオのイスラム勢力とのパイプなんてただのサラリーマンには得ようもないので、それはそれで仕方がない。

 それはそれとして、現状の勢力図からこれから何か変更があるかというと、実際にISがダバオまで来ようとするとそれなりの人数をかけて、補給しながら進まねばならず、さらに現地の山賊と言われる勢力との兼ね合いもあり、歴史的な勢力図はそうそう塗り変わらないと考えている節がある。ただ、それは指導的な層がそう考えているかというと、必ずしもそうではなさそう。というのがミンダナオの人たちの少ないサンプルから得られた結果。

 彼らが平和なうちに暮らせることを願いつつ。

 

 それはまた別の話として、フィリピンは島国なので、たくさん空港があるのだけど、ミンダナオの西部のザンボアンガなんていうところはもろにインドネシアの領土的野心の標的になっているようなところだけど、フィリピン航空がフライトを運行していて、政権側のフィリピン航空がそんなところで商売やってけてるんだろうかと訝しいけど、ただあの国はチャランポランでもなんとなく仕事が回るイメージなので、それはそれでなんとかやってるのかもしれない。