大学の教授になる方法

 目的と手段をはき違えるととか、そんな話は別にして、大学の教授になる方法。

 学生さんからは、大学院に行って、学位を取って、ポスドクを数年したり、バイトして非常勤講師をして、期限付きの助教になって、准教授になって、教授になってとかが思いつく方法だろうか。それはそれで一つの手です。

  1. 大学卒業 22才 年収0円
  2. 大学院修士課程卒業 24才 年収0円
  3. 大学院博士課程卒業 28才 年収0円 
  4. 学位を取ってすぐに任期付きのポスドク第1ラウンド開始、終了時 31才 年収300〜500万
  5. 引き続きポスドク第2ラウンド。終了時 34才 年収300〜500万
  6. やっと期限付きの助教第1ラウンドになる。終了時37才 この辺の年収はよくわからないけど、400〜600万くらいでしょうか?
  7. 期限付き助教第2ラウンド。終了時40才 年収600万じゃきついですね。もっともらっててほしいもの。
  8. この辺でテニュアに。助教か准教授か。准教授でやっと年収1000万に届くかでしょうか。上の教授が退官しなとなかなか教授になれない。
  9. 50くらいで教授でしょうか。この辺になると年収1000万を超えるのかな。超えててほしい。

そういうことで、つつがなくというか、かなり研究者人生うまく渡って早くて40代中盤で教授になれるかどうかでしょうか。民間企業で言えば課長か部長くらいの年収でしょうか。しかしそれになるまでの期間が果てしなく給料が低くてやってられないです。しかも3年に一回転職活動があります。

 大学にいたときはこんなもんかと思ってましたが、まず給料が安すぎて、今となっては大学の助教にしてあげると言われたところで、給料が下がるならなりたくない。ここまでの知識を身につけるのにはそれなりの時間がかかったわけで、28才まで年収0円で過ごしてきた世間知らずには学振の給料の月給40万円は大きいのでしょうが、そんなもん所詮年収500万(期限付き)です。一部上場企業の正社員ならそんな身分の保障されていない仕事はしたくない。

 その上、毎度の契約更改でいつも契約が切れた行くところがないというリスクがあります。年々パイは小さくなります。でも年々歳をとって、無理も効かなくなります。その上、自分で研究費を取ってこなくてはなりません。もはや文科省から出てくる運営交付金なぞあてにはできず、科研なり、その他省庁の研究費などを引っ張ってこなければなりません。つまり、研究者が自分で営業戦略を立てて、どこかから数年掛かりのプロジェクトを取ってこないといけません。しかもコネがなければどういうテーマが客が求めているものか知ることもできません。無理ゲーです。っていうか、研究者に営業させるな。

 あまつさえ仕事が少ない上に、自分の仕事が求められてやっているものかどうかわからない。別に求められていないものでもいいけど、そんな外部の機関とやらに評価されなければできない程度の研究テーマにしか金が付きません。

 

 じゃあどうするかって?

 2つやり方があるけど、やり方は似てる。

 私は理系の人間なので、暗黙のうちに理系の作法が思いつくので、理系のケースを紹介しようと思います。

 1つ目は、それぞれの業界の御三家とか言われる会社の研究開発部門に入ること。設計でもいいかもしれないけど、研究開発部門がいいです。研究開発部門は入るのが難しいと思われるかもしれないけど、割と希望が通ることが多いみたい。

 せめて修士くらいは取っておいてもいいでしょう。

  1. 大学卒業 22才 年収0円
  2. 大学院修士課程卒業 24才 年収0円
  3. 主任研究員とかなる 35才 年収600〜700万
  4. 係長とか、偉い研究員とかなってどっかの大学で社会人博士を取らせてもらう。太っ腹な会社だと海外留学でもさせてくれる。どっかの業界団体とか、財団法人の研究員とか、何とか委員になってその業界のインサイダーとがっぷりパイプを持っておく。 40才 年収1000万
  5. どこかの大学のポストが空いたので、業界のトレンドのテーマを持って大学教員になる。45才 年収1000万くらい?

 もう一つは、上と同じですが、今度は経産省とか、国交省とかの理系っぽい役所に国1の試験を受かって入庁することです。国1の試験に受かるのが難しいって?1学年で大学の博士課程を卒業して大学の教授になる人の数と、国1の採用数どっちがいいか調べてみたらいいと思います。そして、入庁後は色んなところに行きますが、その省庁傘下の独法での業務に携わることです。ポスドクで各独法で研究する人もいますが、そんな一般入試で入っても無駄な競争をさせられたり、試験でふるいにかけられたりするだけです。役所についてはどういうキャリアパスがあるのか詳しくないですが、会社と同じくらいかと思います。その中で技官的思考が高い人は大学の教員になってる人がいくらかいます。あるいは天下る代わりに大学教員になる人もいるみたいですね。

 これらケースは何がいいかというと、自分たちで研究のニーズを掴んでいて、それを解決するために大学教員になるというやり方であることで、日本が大学に対してニーズに対する解を出しなさいというスタンスで臨んでいる限りはこのやり方が圧倒的に有利です。いわば、大学に対して発注側になって、それで自分で受注して仕事をするスタイル。

 これがいいか悪いかというと、いいことでもない気がして、このコースで東大の生研の教授になったおっさんが、経験的に色んな保存則の類似性に最近気がつきましたとか言ってて、このバカNoetherの定理も知らないで東大の生研の教授だかなんだかしてんのかよ、マジでチャレンジする会社のOBは頭の中もチャレンジングだなって思いました。つまり、このやり方のデメリットはバカが東大の教授になってしまうことです。俺の納めた税金返せ馬鹿野郎。